2018 Toughroad SLR2 レビュー【グラベルバイク】

2018年モデル Toughroad タフロード SLR2 評価 インプレ
GIANT(ジャイアント)が販売する Toughroad(タフロード)は、スポーツ自転車のジャンルで言うと『グラベルバイク』です。

そのグループには、ロードバイクの設計思想をベースにした、砂利道も走行できる『グラベルレーサー』と『オールロード』。
MTB(マウンテンバイク)の設計思想をベースに、さらに荒れた砂利道を走破できる『アドベンチャーバイク』があります。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
アドベンチャーバイクの Toughroad は、MTB が想定している岩場や大きい石が路面をおおうルート以外の走行を前提に開発しています。
そのため、重量が増えたり定期的なメンテナンスを必要とするサスペンションは装備していません。
そのかわり、フォークへキャリアとパニアケースの装着を容易にしたり、重くなりがちなアドベンチャーバイクのなかでもバイク重量は軽量に仕上がっています。


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バイク概要・パーツ構成


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Toughroad SLR 2 仕様

タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
Toughroad SLR 2 は、シリーズ・ラインナップ《※1》のなかでは廉価版のモデル。フレーム・フォーク強度や装備的に価格が落としにくいアドベンチャーバイクですが、販売価格は税抜きで〈¥ 110,000〉と、かなりリーズナブルなプライス。
ただし、安かろう悪かろうじゃないところが GIANT ブランドの凄さ。

《※1:世界展開で販売されている Toughroad は、SLR 0、SLR 1、SLR 2 と『3つ』ありますが、日本では SLR 1 は販売していません。》

バイクに重要なフレーム設計は〈2017年モデル〉と同様ですが、フォークは新たに設計変更がされています。主な変更点は、油圧ブレーキのオイルラインをフォークブレード内蔵式へと改良。
さらにシートポストも新設計です。また、ホイールセットも大きく設計変更されており重量も軽量化されています。

バイク重量

タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
購入した2018年モデルの Toughroad SLR 2 のサイズは最小の〈XS(390 mm)〉です。気になる重量はペダルレスで〈約 11.1 kg〉と GIANT の公表重量〈約 11.2 kg〉とほとんど差がありません。

2017年モデルの SLR 2 が〈約 11.5 kg〉だったので〈約 400 g〉は軽量化できてます。ブレーキシステム、ドライブトレイン系は前年と同様なため、新型ホイールセットだけで軽量化できたのか?非常に気になるところです。

もっと軽量化したいのであれば、タイヤ、チューブ、ハンドルなどから交換していくのが効果的。最終的にドライブ系(変速機・ギア)を上級グレードへ変更すれば、かなり軽量化できます。

なんと言っても、11万円台の完成車アドベンチャーバイクで、この重量なら断然軽い。他社ならフレームセットだけで10万円に迫るのも珍しくありませんから。

私が所有する Toughroad SLR 2 は軽量化を進めており、フレーム、フォーク、シートポスト以外は全ての部品を交換します。バイク重量は実際に組み上がってみないと分からないのですが、ドライブ系には[Shimano XTR / 2 × 10 s]を採用、ペダル込みでも〈9 kg〉台は間違いないでしょう。

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ドライブトレイン

ドライブ系の構成は、2017年モデルと同じく Shimano(シマノ)製。変速用のディレイラー、シフターには[Shimano ACERA(3×9段)]を採用。コストを抑えるためクランクセットとブレーキセットは[Shimano ALTUS]を選択しています。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
クランクセットはチェーンリングが3枚あり、それぞれの歯数は〈22 / 32 / 44T〉。

29インチホイールにワイドタイヤを装着する Toughroad は、同じホイール径の MTB よりアウターチェーンリングが大きいが、センターとインナーギアで小さい歯数が用意されるため、用途や路面状況によって適切なペダリングができます。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
リアドライブのディレイラーは、9段変速用[ACERA]にカセットコグ(ギア)[SHIMANO HG300 9S 11-34T]が入る。

前後のドライブセットとも、26インチホイール MTB のドライブ系と同じ構成で信頼性が高く、ワイドレンジな変速ギアを備えています。
このグレードの補修部品は安価で容易に入手できるため、ハードに長距離を乗りこなすユーザーにも安心。

リアアクスル(後輪ハブ軸)は、標準的なスポーツ自転車が採用する QR(クイックリリース) で、アクスル幅は〈OLD 135mm〉。また、チェーンステイにはフレームデザインに合わせた樹脂性チェーンガードが装着されます。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
ギア変速を手元でスピーディに操作できるシフターは[Shimano ACERA]。MTB入門向けに開発された廉価クラスですが、設計と部品精度が高く作動感はいたってスムーズ。

変速するために変速レバーを親指で押したり、人差し指で引いたりするのですが、シフティングは非常に軽く、幅広いユーザーが簡単に操作できます。
親指の変速レバーは大きめのレバーアクションが必要ですが、軽く押すことで変速が可能。
人差し指の変速レバーは手前に軽く引けば、非常に素早く変速が完了します。

さすがはシマノ製だけあって外れた作動感がありません。

操作感が軽いうえに確実な変速が行なわれるため、老若男女おおくのユーザーが迷わず使いやすい変速システムになっています。

ただし、変速レバー機構には、上級モデルに用意される2ウェイリリースのラピッドファイアは採用されていないため、従来シリーズの操作に慣れていないとリリース操作に戸惑うことがあります。

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ホイール

タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
ホイールセットは2018年モデルから新しい設計になっています。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
ただ不思議なことに、カタログ仕様ではリムが[GIANT SX-2 28 H]となっていますが、実際に販売されているモデルには、上位ホイールの[GIANT PX-2 28 H]が装着されています。

スポーク本数が前モデル[GIANT SX-2 32 H]より4本減ったことで若干の軽量化と見た目がスッキリしています。
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ホイール仕様は、リムが自社のオリジナルリムでリムハイトは〈約 25 mm〉の高さがありセミディープリム形状。チューブレス対応リムになっているため、チューブレス専用エアバルブを用意すればタイヤのチューブレス化が可能。

タイヤ

GIANT は多くのバイクアクセサリーをが開発していますが、近年は自社製タイヤにも力を入れています。
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Toughroad ホイールに装着されるタイヤは[GIANT SYCAMORE S 700x50C]。低いノブ(ブロック)が集まったパターンのセミスリックタイヤで、密集した菱形ノブの効果によってオフロード走行にも対応する。

タウンユースからグラベル(砂利道)、オフロードと幅広く走れる万能タイヤ。推奨空気圧は〈2.1~4.2 ber〉。

タイヤの重量は〈730g〉でワイヤビート。チューブは〈190g〉と両方とも軽量級ではない。

ブレーキ

ブレーキシステムは、全天候対応でハードユースにも頼もしい油圧ディスクブレーキ。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
ブレーキレバーは[SHIMANO M315]、ブレーキキャリパー[SHIMANO M315]で、ブレーキローターは160mmを採用。ブレーキローターのスリット(ドリルド)パターンは独特なモノなっており制動フィーリングが気になるところです。

ハンドル / ステム

タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
ハンドルバーは[GIANT CONNECT XC RISER 31.8 640mm]。形状は MTB のように少し上体を起こしたポジションがとれるライザーバー仕様。

29er MTB などに多く採用される幅広いハンドル幅(700〜740ミリほど)よりは短く、クロスバイク用(580ミリ前後)と比べると長い。26インチホイール MTB 時代に採用されたハンドル形状です。

ハンドルの形状と幅は、29er ホイールとフレームを軽快にコントロールするのに良好。ハンドルの曲げ量を表すスイープ角は、上と後ろ方向に大きく曲げがあるため、トップチューブが長い Toughroad のフレームでも、ハンドルグリップへ自然と手が届きます。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
ステム長はフレームサイズによって長さが延長されますが、サイズ〈XS〉フレームのステムは〈長さ:70ミリ / 角度:8度ほど〉。私は上半身を低い姿勢にするため、ステムを逆さまに取付け、高さはコラムチューブの一番下へセットしています。

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サドル / シートポスト

サドルとシートポストは GIANT 自社開発のオリジナルパーツ。両方とも2018年モデルから新設計の新型パーツに変更されています。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
サドルは[GIANT CONTACT NEUTRAL]で従来モデルよりスポーツバイク向けとして長距離ライドに対応する設計もほどこされ形状はよりシャープに。モデルチェンジとともに全体的に軽量化設計されており、クッション部分も薄くなっています。

シートポストは GIANT 独自規格『D-FUSE』。ポスト断面形状がアルファベット『D』に似たカマボコ形状になっており、お尻にかかる衝撃をシートポストを弓なりに後方にしならせることでショックを緩和させます。

非常に効果のある優れたシートポストなのですが、フレームのシートチューブの取付け部分も特殊形状になるため、通常の円柱ポストには交換できません。

Toughroad SLR 2 のシートポストは、販売価格をおさえるためにアルミ素材ですが、振動吸収の機能を十分発揮します。
タフロードの評価[2018 Toughroad SLR 2]
シートポストの前部分にはミリ単位の数値がプリントされているため、細かい調整がしやすい。

D-FUSE 2018年モデルの変更点は、サドルの角度調整機能の追加です。
従来モデルでは、ボルト一本で締め付けと角度調整を行なっていましたが、新型では角度調整専用の調整ネジが追加されました。さらに調整角度は無段階です。
従来品では角度調整が無段階ではなかったため、フィッティングにわずかな妥協が必要でした。

厳密なフィッティングを求めるユーザーには嬉しい改善です。

実走レビュー

GIANT タフロード SLR 2 ブログ[ジャイアント自転車評価]

GIANT(ジャイアント)が販売するアドベンチャー・グラベルバイク『Toughroad(タフロード)』。初登場は2016年モデルからですが、早くも3年目となる2018年モデルが発売されています。

2018年モデルのタフロードは、2017年モデルと比べてフォークとホイール以外の変更は少ないですが、個人的に「良かったな」と感じたのは、フレームカラーがゴールド系からブラック系へ変更されたことです。私は2017年モデルを購入して長い時間乗っているので慣れましたが、購入希望者の中には「き、きんいろなのか…」と購入を躊躇した人もいたかもしれません(どうですか?)

2018年モデルのフレームには、蛍光レッドのアクセントカラーが施されていますが、ホイールにも同色のアクセントがあります。このあたりは統一感があって好きです。


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フィッティング

GIANT タフロード SLR 2 ブログ[ジャイアント自転車評価]
自転車に乗る前に重要な項目にフィッティング(乗車ポジション合わせ)があります。楽に走るためには、乗る人に合わせたポジションを出す必要があります。大雑把に言えばハンドルの高さや、サドルの高さの調整です。

私の身長は〈約 166 センチ〉。選んだフレームサイズは一番小さい〈390(XS)〉で、メーカーが公表する適応身長は〈155〜167センチ〉です。サイズ〈420(S)〉でも乗れますが、ヘッドチューブが短い方がハンドルの高さを低くできるため XS を選択しています。

とりあえずフィッティングでしたことは、ステムをフォークコラムの一番下まで低くし、サドルの高さはクランク(BB=ボトムブラケット)の中心からサドルの天辺までの長さを〈約 650 ミリ〉にしました。また、サドルの前後位置はかなり後方まで引いて上半身に余裕を持たせています。

また、ペダルにはクリート対応専用シューズを必要とする SPD ではなく、標準的なフラットペダルです。シューズは NIKE の軽運動用の廉価版シューズ。

実走フィーリング

GIANT タフロード SLR 2 ブログ[ジャイアント自転車評価]
毎回走行前にはタイヤの空気圧をチェックします。タフロード標準のタイヤは、オフロードの走行も可能なブロックタイヤ[GIANT SYCAMORE S 700 x 50C]。このサイズは〈29 × 2インチ〉タイヤを装着する MTB と同等であるためエアボリュームは大きい。そのため、タイヤの空気圧を低い設定にすることも可能。

タイヤの推奨空気圧は〈2.1~4.2 ber〉ですが、オン・オフロード路面を走ってみてフィーリングが良かった〈約1.9 ber〉に設定。ちなみに私の体重は〈約56キロ〉。

発進・加速・巡航

ターマック(舗装路)走行

まずは、オンロードから実走開始します。

スタートからペダリングを始めると、29er(29インチホイール)タイヤと、フロント・アウターチェーンリング(前変速の大きいギア)の歯数が〈44T〉であるため、静止状態からの走りはじめは重めのフィーリング。しかし、ホイールが転がり始めて少しでも勢いがつくと素早い加速状態へと移行する。

2018年モデルのタフロードでは、ホイールセットが新設計の上級グレードのものに変更されている。とくにホイール重量が軽量化されているため走り出しは若干軽くなっています。
旧モデルのホイールに軽くない29インチタイヤとチューブの組み合わせは、ペダリングを重くしていましたが、ホイールが軽量化されたぶん都市部でのゴー&ストップの繰り返しも少し楽になりました。

ただ、従来ホイールではデメリットである重量を回転慣性に利用できたため平地での巡航速度の維持は楽でした。また、向かい風でも多くの脚力を必要としないメリットはありました。
このように、新型ホイールでは従来のメリットが薄まっていますが、全域でホイール回転が軽くなっており一長一短です。

ペダリング入力に対してスムーズな加速や巡行コントロールを好むユーザーには気に入ってもらえるホイールセットでしょう。

グラベル(砂利道)走行

タフロードの本領を発揮するのが、ロード・クロスバイクが走行を避けるグラベルロードです。

砂利道への進入にたいしては心構えなどは不要で、巡航速度を落とす必要もなく、とりあえず真っ直ぐな砂利道ならペダリングを普段通りにすれば MTB のようにバイクは進んでいきます。

タイヤの太さと衝撃吸収性の良さによって通常の林道程度の荒れ具合ならハンドルを取られることもなくイージーな走行ができます。ただ、タイヤに高めの空気圧を入れていると路面のギャップを拾いやすくなり直進安定性が落ちることがあります。

純正のタイヤは重量が〈約730グラム〉ほどあり軽くないですが、衝撃吸収の高さと悪路では転がり抵抗は低くいため、グラベルルートでの走行は良好で速度も上げることは難しくありません。
しかし、コーナーの進入速度には注意しないと、車体を倒し込んでもバイクは外へ膨らんでしまいます。

理由はタイヤの密集したスリットパターンとノブ(ブロック)の低さにあります。

悪路走破用に開発した路面への喰いつきが高いノブタイヤではないので、悪路のコーナーリングには注意が必要です。そのかわりグラベルルートでの走りは軽く、フラットなシングルトラックの走破も可能です。

新設計のホイールセットは衝撃吸収も良好。適度なホイール剛性があるため砂利道でも扱いやすく体へのストレスが溜まりません。
ただし MTB ホイールのような強度は期待してはいけません。悪路やシングルトラックでのキャップ通過では、ライダーが積極的に抜重してホイールへの衝撃を減らしましょう。

当然ながらジャンプなどは厳禁です。

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登坂

タフロード SLR 2 の変速には、26インチ MTB で普及した 3 × 9(27段)を採用しています。
ホイールが小さい26インチMTBでは、舗装路をメインとしたサイクリングのばあい、インナーチェーリング(前変速の一番小さいギア)を使うことは皆無です。

しかし、ホイールが大きい29インチグラベルバイクになると、斜度がきつい山岳ルートではインナーギアが活躍します。
とくにタフロードにキャリアを装着してパニアケースに荷物を積み込んだばあいインナーギアは必須な装備になります。

前にも書きましたが、タフロードに採用されているタイヤ軽くありません。2インチ幅のブロックタイヤにしては走行ロス少ない部類ですが、舗装路をメインに走るならタイヤの走行抵抗は大きい。
実際にタフロード SLR 2 で起伏がおおい山の麓を走行するばあいアウターチェーンリングを選択することは少なくなります。

私の脚力の問題もありますが〈勾配10%〉程度の坂がつづく山岳ルートならインナーチェーンリングを選択してペダリングするでしょう。

日本は狭いフィールドに野山や谷が多くあるため、上り下りが連続するルートも珍しくありません。
そのような状況を知ってしまうと、タフロードでのサイクリングは大変そうなイメージがしますが、簡単な解決法があります。
それは、軽くて細いタイヤに交換することです。それだけで劇的に走行感が向上します。

コーナーリング

タフロードのコーナーリングは非常に安定しています。このバイクのフレームとフォークの剛性が高いため歪みを感じさせません。
この安定度は曲がることが苦手なバイカーへ安心感をあたえる条件の一つになるでしょう。

まずターマック(舗装路)のコーナーリング。旋回へ入るときにバイクを倒していきますが、コーナーリング中でもバイクは高い安定性があります。バイク縦方向のねじれが発生せず、車体がブレて予想以上にバンクすることはありません。

また、バイクの切り返しがとてもスムーズかつ安定しており、カーブが連続する山岳ルートのS字コーナーが待ち遠しくなるほど軽快なハンドリングです。

足回りのホイールは、仕様変更により従来のカッチリとした高剛性ではありませんが、狙った走行ラインを余裕でトレースします。

グラベル(砂利道)でもコーナーリングは MTB のように安定しています。モデルチェンジで軽量化されたホイールは一定の剛性が保たれており、安心してバイクの倒し込みができます。

コーナーの途中にあるギャップや石を踏んでしまうと、ホイールがブレることもありますが、ブレは一瞬で収束するため、その挙動になれれば怖いことはないでしょう。

タイヤはノブが低いセミスリックなので、ダートコーナーでは高い旋回力は期待できませんが、スライドの挙動もスムーズだからリカバリー動作の余裕があります。

走り方をいろいろ試してみると面白いと思います。

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各部分の評価

Toughroad(タフロード)をジャンル分けするならツーリングバイクのなかでも荒れた路面を走行できる『アドベンチャーバイク』に分類されます。
もっともハードなルートを走行できる『Fat Bike(ファットバイク)』より平らな路面を走るのを前提としています。

ハンドリング

GIANT タフロード SLR ブログ[ジャイアント自転車評価]
荒れた路面を宿泊道具を積載して長距離走行を可能にしているのがアドベンチャーバイク『Toughroad』です。
欧米で近年流行しているバイクパッキングにも対応できますし、従来通りキャリア&パニアケースに荷物を積載して旅に出かけることも可能です。

このようなこと書くと、アクティブなライディングができないバイクのようですが、タフロードは往年の旅自転車『Randonneur(ランドナー)』とは別物。ダートロードも走破し、軽快なハンドリングで、重量も軽い。

タフロードはタイヤとホイールに 29er MTB と同等な仕様を与えているため、クロスバイクやロードバイクのタイヤ外径より大きい〈700 × 50C〉を採用。
実際にタイヤを装着したバイクを見ると「スポーツ」という言葉には縁遠いイメージがします。

しかし、ハンドリングにクセのない Toughroad はスラローム走行でも素早い切り返しが得意。そのため、ある程度スピードがのった状況でもタイトコーナーを安定してクリアできます。
コーナーリングはMTB同様にバイクを倒し込めば自然と旋回モードに入ります。フレームとフォークの剛性は、クロスバイクやロードバイクの比ではないので安定感は高いです。

軽快なハンドリングに、高いフレーム剛性があるため、はじめて29erバイクに乗るユーザーでも気構える必要はありません。

ステア周り

GIANT タフロード SLR ブログ[ジャイアント自転車評価]
タフロードのハンドルバーは、どのグレードでも形状が同じ。すべてがライザーバーという種類でグリップ部分へ向けて斜め上に曲がっています。バーの幅は〈640ミリ〉と広めですが、バーが手前内側に曲がっているため、両腕は弧を描くようにハンドルを持つことができます。
おかげで腕を屈伸させた衝撃吸収動作がしやすく、素早いバイク操作にも対応。私の腕は特に長くありませんが非常に操作しやすい。

ライザーバーハンドルは上半身が起きるため、スポーツバイクが初めののユーザーでも安心感が高く、オフロードでのコントロールも良好。適度にリラックスできるライディングポジションを提供してくれるのでポイントは高い。
さらに勾配のある坂道登坂でも軽く抑えがきいてハンドルは左右にブレにくい。

ハンドルの重量〈約290 グラム〉と軽くはありませんが頑丈であるため気遣いの必要なし。また振動吸収性は高くありません。
より振動を緩和したり軽量化したい場合は、真っ先にハンドルを交換をするのがオススメ。

グリップは GIANT 純正の最廉価品。若干柔らかめで細い握り具合。固定はボルトオンではないため、グリップ交換はエアコンプレッサーで外すか、再利用しないなら切り離すと楽です。

ハンドルバーは幅があり、ライトやスピードメータを装着する場所には困りません。
ナイトライドに安心感の高いダブルライト装備も余裕。また、フロントバッグの装着もしやすい。

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フレームとフォーク

GIANT タフロード SLR 2 ブログ[ジャイアント自転車評価]

フレーム

フレームの見た目(ジオメトリ)は2017年モデルと一緒。GIANT はアピールしなくても仕様変更する事が多々あるため、昨年モデルと同一設計なのかは分かりませんが、フロントフォークは設計が変更されています。

フレームジオメトリは2016年モデルと比べて全てが再設計されています。変更の理由は、より小柄なユーザーでも乗れるようにトップチューブの高さを低くしました。
この変更によってシートチューブが短くなり MTB フレームに近い形状になっています。

設計変更によりシートポストが長く露出しましたが、メリットとしてシートポストが弓状に動きやすくなり、乗り心地が向上しています。

フレームの三角形状が小さくなると振動吸収性が低下するのが一般的ですが、2016年モデルと比べても体感で判断できませんでした。
ただ、シートポストの振動吸収性の向上は体感できるほど良くなっています。

フロントフォーク

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予想外なことに、2018年モデルではフロントフォークの設計が変更されました。
変更点は目視で確認できる変更で、油圧フロントブレーキのオイルラインが、フォーク左側を貫通する内装式になりました。変更理由は見た目がスマートなになるからだと思います。
ただし、ブレーキを変更する場合、必ずオイルラインを切断しないと外せなくなりました。

最近はグラベルバイクでは内装式が増えています。

そのほか設計が変更されているのかは不明ですが、とくに剛性が上がった・振動吸収性が上がった、などの体感はありません。

アクスルの変更はなくクイックリリースが採用されています。将来、フルカーボンフレームの Toughroad Advanced が登場するなら12 × 100mm スルーアクスルを採用して欲しいです。

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ホイール・タイヤ

ホイールセット

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2018年モデル Toughroad SLR 2 の大きな変更点は、ホイールセットがアップデートされた事です。

2017年モデルまでは、強度が高く重い荷物の運搬でも信頼性のある[GIANT SX-2 Disc 32H]のホイールを採用していました。ところが、2018年モデルでは上級グレードの Toughroad SLR 0 にも採用されている[GIANT PX-2 Disc 28H]に変更されました。

ただ不思議なことに、ウェブサイトの情報では[GIANT SX-2 Disc 28H]になっています。こちらの変更点はスポークの本数が〈32H〉→〈28H〉に減っています。

[GIANT PX-2 Disc 28H]は[GIANT SX-2 Disc 32H]より軽量なホイールです。

実走してすぐ感じるのがゼロスタートからの軽さ。ホイール回転の負荷が従来のホイールより軽くなっているのが体感できます。そのかわりディープリム的な慣性回転力が少し減っています。

あと振動吸収性が若干向上しており、ホイールの剛性も適度な快適さを得るくらいバランスが取られています。

また、ホイールはリム仕様がチューブレス対応の『チューブレス・レディ』へ改良されています。タイヤをチューブレス対応へ交換して、チューブレスバルブとシーラント剤を用意すればチューブレス化が可能になります。

ホイールセットに関しては廉価版バイクとは思えない大幅なアップデートを受けています。

タイヤ

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Toughroad シリーズが採用するタイヤはジャイアント自社開発した[GIANT SYCAMORE S 700x50C]。

転がり抵抗とグリップ性能を大きく左右するのがトレッドパターン。このタイヤのノブ(ブロック)は低く、間隔は少し広めに配置した設計。見た目より走行抵抗は少なくペダリングは軽い。
また、ノブとタイヤ表面の柔軟性が高いため振動吸収性は良好で、路面が凸凹でも衝撃の角は丸めてくれる。

オン・オフ路面のグリップ力バランスが取れており、オフロードでも十分安定した走行ができます。

タイヤの推奨エア圧は〈2.1〜4.2 ber〉。エア圧は設定は、ライダーの体重、走行フィールドの路面環境、積載する荷物の重量を検討しながら決めていきましょう。
ほとんどのユーザーがハンディポンプを携帯しているはずなので、走行しながらエア圧を変えてチェックすればベストな状態が見つかるでしょう。

私は通常〈約1.8 ber〉のエア圧にしてます。キャリアとパニアケースを装着して荷物を積載するなら〈1.9 ber〉以上のの設定です。

タイヤはスチールビードであるため重量は少し重めの〈約730グラム〉。チューブの重量は〈約190グラム〉と両方合わせると〈約920グラム〉にもなる。

軽量化したい場合はタイヤ・チューブの交換は要検討です。

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コンポーネント

タフロード SLR 2 のコンポは、ドライブ系・ブレーキシステムのすべてがSHIMANO(シマノ)製。廉価なパーツ構成でありながら確実で安定した性能を発揮するのはさすが!

シフター

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シフターは、変速ギアの組み合わせ〈3 × 9 = 27段〉を手軽にコントロールするのが役割。バイクに装備されるのは、廉価グレードMTBに多く採用される[SHIMANO ACERA]がメイン。

前後ディレイラーを操作するシフターには2本のレバーがあり、親指で押し、人差し指で引いて変速する『ラピッドファイアー・プラス』を採用。
小さいギア(歯車)への変速操作は、レバーを引けば瞬時に素早く変速。また、大きいギア(歯車)へ変速は、レバーを押すことでできます。押すストロークは大きいですが軽くてスムーズな変速が可能。

非常にスムーズに変速できるため握力が低いユーザーでも楽々。

ドライブトレイン

GIANT タフロード SLR ブログ[ジャイアント自転車評価]
ペダルを回した力を車輪に伝えるのがドライブトレインの役割。

ドライブ構成パーツである[SHIMANO ACERA]の前後変速の歯数は、前が3段〈44 × 32 × 22T〉、後が9段〈11-34T〉と、高速走行から急激な坂の登坂もこなせるワイドレンジな設定。

MTB系タイヤを装着した29インチホイールバイクとしては、アウターチェーリング〈44T〉はかなり大きい。
そのため、少しの勾配でもミドルチェーリング〈32T〉を使用するシーンは多く、さらに勾配が10%ちかい坂になるとインナーチェーリング〈22T〉でペダルを回すことになります。

フロント〈44T〉のチェーンリングでのペダリングについては、平地をメインに走行するなら、ほとんど後ろ変速だけで大丈夫でしょう。

坂が多い地域なら全ての変速を駆使して走る事ができるでしょう。

29インチのホイールサイズは車輪の直径は大きいため、フロントチェーンリングの大きいギアを豪快に回せば、平地での巡行速度は高く最高速度は脚力しだいで〈40 km/h〉以上は可能です。

ブレーキセット

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ブレーキは MTB と同じく普及している油圧ディスクブレーキを採用。油圧で駆動するブレーキシステムの制動力は、通常のカンチブレーキより強く安定しています。

雨が降っていてもブレーキの性能はほとんど落ちません。

ブレーキ制動時のレバー入力はかるく、ブレーキの効きは指の引きたいしてリニアに調整できる点は、初めてのユーザーでも安心。
また、制動力の強さも調整しやすく、指一本でタッチからタイヤロックまで制動コントロールが可能です。
GIANT タフロード SLR ブログ[ジャイアント自転車評価]
とくにディスクブレーキの恩恵を受けるのが、峠から延々と降るルート。連続するワイディングロードのブレーキングでも減速能力は非常に安定しています。
さらに、キャリアに荷物を積載した状態での長いブレーキングでもフェードによる制動力低下の兆候はありませんでした。

さらに、指の長さやレバーの引き具合を調整するリーチアジャスターも搭載。幅広いユーザーの指の長さやレバータッチ感を調整し最適化することができます。

廉価版ブレーキシステムですが、その性能は素晴らしい!