2017 Toughroad SLR2 レビュー【グラベルバイク】

2017年モデル Toughroad タフロード SLR2 評価 インプレ
2016年モデルの[Toughroad SLR 1]を購入してからというもの、グラベルバイクという方向性と性能が個人的にマッチしてしまいました。そのため、以前はよく乗っていたMTBやシクロクロスに乗る機会がめっきり減ってしまいました。

Toughroad(タフロード)は、バイクに荷物を積載して荒れた砂利道を走行できる前提で開発されたアドベンチャーバイクです。


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概要・構成


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Toughroad SLR 2の購入

私がToughroadを選んだ理由は、MTBような強靭なフレームやサスは必要ないけど、段差を気にせずハードに走れるクロスバイクが欲しかったからです。
走るフィールドは、サイクリングが目的なので舗装路がメインなのですが、旅先で気になる悪路やフラットなシングルトラックでもグイグイ入って行くためでもあります。ついでに荷物も載せれたらサイクリングの幅が広がって、もっと楽しい!
Toughroadは、そんなサイクリングが多いMy自転車生活にドンピシャなバイクでした。

私の所有する[2016モデル Toughroad SLR 1]はキャリアが標準装備されたモデルで、純正か社外品のパニアケース(またはパッキングケース)を購入すれば、キャンプ道具や衣類食料品を積載してただちに旅立てる仕様。
基本アドベンチャーバイクなので、スポーツ性能を期待せずに購入。ところが、予想外にハンドリングがよくキビキビ走るために、つい軽量化の誘惑に負けてパーツ換装してしまいスポーツバイクへと改良…ちょうど29er(29インチMTB)バイクも気になっていたので思わぬお得な気分に♪
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
とりあえず〔2016 Toughroad SLR 1のレビュー〕も掲載しておりますのでハンドリングなど気になる方はご参考にどうぞ。

SLR 1が軽量29erスポーツバイクに変貌してしまい、重量増のキャリアやパニアケースを載せる気にならなくなりました。なので、改めて本来のアドベンチャーバイクとして活用するため[SLR 2]を購入しました。ちなみに2017年モデルでは[SLR 1]の国内発売はありません(2018年モデルも日本販売しません)。

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Toughroad SLR 2詳細

フレーム設計の更新は、だいたい2年以上のサイクルで変更されることが多いのです。たくさんのラインナップをそろえるバイクブランドなら開発費がかさむため尚更です。
Toughroadは2016年から新シリーズとしてデビューしていますが、GIANT(ジャイアント)は、このバイクのフレーム設計を2017年モデルで新たに改良しています(2018モデルはほぼ同一)。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
[SLR 2]のパーツ構成は、2016モデルとくらべて小さい変更のみで、バイクのイメージを左右する変更はおこなわれていません。

バイクの重量

Toughroadシリーズでは[SLR 1]のみキャリアを標準装備していますが、それ以外のモデルはキャリアを装備していません。なお、GIANT純正キャリアは別売でも販売されており重量は前後セットなら〈1kg程度〉。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
さて、私が乗っている[SLR 2(サイズXS)]の重量は、ペダルレスで〈約11.5 kg〉と、ジャイアントが公表している数値とほぼいっしょ。10万円を切るアドベンチャーバイクの重量にしては十分に軽い。
もっと軽量化したいのであれば、タイヤ・チューブ、サドル、ハンドルなどから交換していくのが効果的。最終的にドライブ系(変速機・ギア)を上級グレードへ変更すれば、かなり軽量化できます。

Toughroadの軽量化については、また別の機会に書いていきます。お楽しみに!

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ドライブトレイン

ドライブ系の変速コンポーネントは全てShimano(シマノ)製。変速用のディレイラー、シフターには[SHIMANO ACERA(3×9段)]を採用。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
フロントドライブのギアクランクはトリプルチェーンリングの[SHIMANO FC-M351 22/32/44T]を採用。29インチホイールにワイドタイヤを履かせたバイクにしてはアウターチェーンリングが大きいが、センターとインナーギアには小さい歯数が用意されるため問題はない。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
リアドライブ系のディレイラーは9段変速用[ACERA]にカセットコグ(ギア)[SHIMANO HG300 9S 11-34T]とワイドレンジな歯数。
前後の変速ギアは、26インチホイールMTBのドライブ系と同じ構成で懐かしさを感じる。

リアアクスルは、クロスバイクや26インチホイールMTBなどで標準的に採用するQR(クイックリリース) で、アクスル幅は〈OLD 135mm〉。また、チェーンステイには、フレームデザインと合わせたチェーンガードが付く。

変速システムの[ACERA]は、MTB入門向けに開発された廉価クラスだが、さすがはShimano製だけあって外れた作動感はない。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
変速を操作する前後シフターのシフティングは非常に軽く、幅広いユーザーが楽に変速できる。ただし、変速位置を決めるインデックスの幅が少し曖昧なため、大きいギアに入れるときは、手前の変速レバーを奥までシッカリ押し込んでおかないと、変速がうまく完了しないことがあります。
小さいギアへ変速するには前側のレバーを引き(リリース)ますが、こちらは廉価グレードのシフターにかかわらず非常に素早く正確に変速を完了できます。

ただ、変速レバー機構には、2ウェイリリースのラピッドファイアは採用されていないため、リリース操作が限定される。上級グレードモデルの操作に慣れているユーザーは鬱陶しいかもしれない。
とはいえ、はじめて多段変速を体験するユーザーには十分な変速性能であり、このグレードのドライブ系を使いこなして上級グレードへアップデートすれば、より質の高いパーツを装備した高額スポーツ自転車の価値を知ることになるでしょう。

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ホイール

2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
ホイールセットは、リムが[GIANT SX-2 32H]とGIANTのオリジナルリム。リムハイトは〈約23ミリ〉と少しだけ高めでディープリム形状。リム断面の情報は公開されていませんが、アドベンチャーバイクToughroad専用の設計。ハブはコストパフォーマンスにすぐれる[FORMULA Disc 32H]でスポーク共にシッカリしている。

タイヤ

2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
GIANTが開発した自社製タイヤ[GIANT SYCAMORE S 700x50C]を採用。低いノブ(ブロック)が集まったパターンのセミスリックタイヤで、密集した菱形ノブの効果なのか、振動吸収性は高い。
走行感としてはMTB用のブロックタイヤより走りは軽いが、レーシングXC用タイヤに比べると転がり抵抗はある。ノブのおかげでフラットなオフロードでの走行も良好。タウンユースからグラベル(砂利道)、オフロードと幅広く走れる万能タイヤ。推奨空気圧は〈2.1~4.2 ber〉。

タイヤの重量は〈730g〉でワイヤビートになっている。チューブは〈190g〉と両方とも軽量級ではない。

ブレーキ

2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
ブレーキシステムは油圧ブレーキで、ブレーキレバーは[SHIMANO M315]、ブレーキキャリパー[SHIMANO M315]で、ブレーキローターは160mmを採用。
2016年モデルは[SHIMANO M395]であったが、どのような差があるのか気になるところ。また、ブレーキローターも別物になっておりスリット(ドリルド)パターンが変更になっています。

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ハンドル / ステム

2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
ハンドルバーは少しライザーのかかった[GIANT CONNECT XC RISER 31.8 640mm]。29er MTBに多く採用される幅広いハンドル幅(700〜740ミリほど)よりは短く、クロスバイク用(580ミリ前後)と比べると長い。
大柄な29erホイールとフレームを軽快にコントロールするのにも設定される幅はマッチしている。ハンドルの曲げ量を表すスイープ角は、上と後ろ方向に大きく曲げがあるため、トップチューブが長いToughroadのフレームでもハンドルグリップへ自然に手が届きます。

ステム長とライズ角は〈70ミリ・8度ほど〉。上半身を低い姿勢にするため、ステムを逆さまに取付けて、高さも一番下の部分でセットしています。

サドル / シートポスト

2017 Toughroad SLR 2 レビュー《1:詳細・重量》
サドルは[GIANT CONTACT UPRIGHT]というGIANT自社製。サドル表面の形状はフラットに近いが、サドル上面の面積は狭め。実測では、長さと幅は〈約260ミリ、135ミリ〉くらいと横幅はせまく、大柄なユーザーのフィット感がどうなのか気になる。
サドルの両サイドにはケブラー素材で仕上げられており、摩擦による表面の耐久性を上げています。サドルの厚みはそこそこありますが、見た目はよりクッション性は低く適度に硬い。

形状としては両サイドが落ちた感じになっており個人的に好みではなく、まず最初に部品交換するのはサドルです。

シートポストはGIANT独自規格D-FUSE。ポスト断面形状がカマボコ型になっており、後方にしならせることでショックを緩和させます。特殊形状になるため通常の円柱ポストへ交換しても取付で来ません。
[SLR 2]にはアルミ素材のポストですが、そこそこ軽量で振動吸収もされている。また、シートポストの前部分にはミリ単位の数値がプリントされているため、細かい調整がしやすい。

軽量で振動吸収性にすぐれるカーボン製のシートポストに交換したい場合は、GIANTから別売されているので取り扱い店で注文してください。

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実走レビュー


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バイク・フィッティング

ちなみに私が購入した[2017 Toughroad SLR 2]のサイズは〈390(XS)〉。フレーム設計(ジオメトリ)は2016年モデルから大きく変更しており、メーカーが公表する適応身長は〈155〜167センチ〉と小柄なユーザーが乗れるよう設計変更された。私の身長は〈166センチ〉、これに典型的な日本人体型で腕と足の長くありません。

フレーム設計変更により、適応身長の最大値にちかい身長166センチの私が乗っても、とくに窮屈なことはありません。ちなみに、フレームのトップチューブが〈580 ミリ〉もあるため、手足が長いユーザーはシートポスト位置を上げたり、長めのステムへ交換することで対応できます。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
フィッティング済んだバイクを見てください。サドル位置は特に高くなく、足の長い人でも対応の余地はあります。私のサドル位置の高さを数値にすると、クランク(BB=ボトムブラケット)の中心からサドルの天辺までの長さは約650ミリです。
気軽サイクリングがメインなのでクリート固定する[SPD]ペダルは使用せず、通常の軽量フラットベダルとシューズには[NIKE ランニングシューズ]を履いています。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
ハンドルとステムは、ヘッドセットに接する一番低い位置にセット。標準のハンドルバーはグリップ部分が上がるライザーバーであるため、より低い位置にセットしたい場合はフラットバーへの換装するでしょう。

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Toughroad SLR 2の実走

実走前の空気圧チェックはとても重要。スポーツバイクに乗るならなおさらです。空気圧の設定によってグリップから衝撃吸収にハンドリングといった『走行』フィーリングを左右します。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
2017年のToughroadには[GIANT SYCAMORE S 700x50C]が装着されています。このタイヤの推奨空気圧は〈2.1~4.2 ber〉。私は、色んな路面を走ってみてフィーリングが良かった〈約1.9 ber〉に設定。ちなみに私の体重は〈約56キロ〉です。

発進・加速

まずはターマック(舗装路)から走り出します。
スタートからの走り始めは、29er(29インチホイール)バイクらしく回転はじめは重いフィーリング。しかし、ホイールが回り始めれば「スッ!」とバイクが勝手に進みだすような素早い加速になります。
発進時のフィーリングは、26インチホイールよりも速く700cロードホイールより遅いといった感じ。

タイヤは2016年モデル[MAXXIS MAXLITE SPEED 29×2.0]のノブ(ブロック)低いセミスリックタイヤから、少しノブが高くなった自社製タイヤへ変更された。走行感に少し抵抗を多く感じる。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
またゼロスタートが重めに感じるのは、フロントチェーンリングのアウター歯数が〈44T〉という要素も含まれるでしょう。[SLR 2]の駆動系ギアは、26インチホイールMTBと同じギア比設定〈3 × 9〉になっています。ホイールが29インチと大きいため、アウターチェーンリングからの発進は負荷がかかり軽めではありません。

そのため、信号の多い混雑する市街地では、積極的にフロントチェーンリングのセンターギアを活用すれば、繰り返される『ストップ・アンド・ゴー』も苦にならないでしょう。加減速が多い市街地では、積極的に前後ギアを変速しましょう。

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巡航

Toughroadシリーズのホイールは、ロードバイクより大きい29インチに、幅2インチ(50C)のタイヤを装着しています。これは、スポーツバイクのホイールタイヤとしては最大値です。

そのため、発進時は重量的負荷もありペダルも重めなのですが、動き出して時速10キロ台になると初動のモッサリ感が信じられないような加速がはじまります。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
巡航性能はロードバイクほどの高速域は、重量とギア比の要素があるため出せませんが、クロスバイク同様に優れています。また、少々の向かい風を受けたとしても、29インチホイールとタイヤの質量についた回転慣性に助けられるため影響を受けにくいです。
このホイール周り慣性のメリットは大きく、ワイドレンジなギア比を活かしてペダルにトルクを入れていくと巡行速度がドンドン上がります。これによって、いつの間にか距離を稼ぐことができるためロングツーリングでは大きな長所となるでしょう。

[Toughroad]はグラベルバイクなのですが、ターマック(舗装路)もこなせるバイクなんです。
あと、舗装路(平地)での巡航速度は〈約30 km/h〉は可能。脚力がある人は、まだ速度は上がるでしょうが、道路交通法ではダメな領域になりますが…

グラベル走行

Toughroadはグラベル(砂利道)を走行するため開発されたアドベンチャーバイク。なので、早速ダートコースへ向かわせます。

砂利が延々とつづくダートコースへの進入は、このバイクにとっては心構えは不要。砂利のギャップでハンドルバーが大きく揺さぶられることもなくバイクはグラベルを直進する。また、フレームのアンダーチューブには専用プロテクターが装備されるため、跳ね石にフレームを痛める危険性は低い。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
とりあえずペダリングすれば回転をスピードへ変換して荒れた砂利道を進むことができます。このあたりは2016年モデルと変化はありませんが、衝撃吸収性が上がっているのが確認できました。色んな路面のダートルートを走って分かったのが、タイヤの衝撃吸収能力が優れていることでした。
タイヤの重量は〈約730グラム〉と軽くはないのですが、衝撃をうまく緩和しているのがターマック(舗装路)でも実感できます。このタイヤは走行感も軽めとなっており、GIANTはグラベルバイク向けに高性能なタイヤを開発したようです。

新開発のタイヤは、ドライの状態であればグリップも良い感じ。また、フレームとフォークはアドベンチャー用に設計された強靭なモノであるため、フラットシングルトラック(獣道)の走行も可能。ちょっとしたギャップも抜重したり腕と足を活用して衝撃吸収すれば走破可能です。
ただし、ジャンプなどの大きな衝撃負荷を受け止める設計はされていないため、アグレッシブな走行は厳禁です。

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登坂

日本は、狭い面積のフィールドに野山や谷が密集するところです。平地ルートでは登ったり下ったりの連続で、とくに峠越えは傾斜が大きいルートがおおく、変速性能を最大限に活用してクリアする必要があります。
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
[SLR 2]のドライブ系は、26インチMTBに採用していたワイドレンジなギア比構成ですが、ホイール周りが29インチホイールセットと重くなるため、平地でスピードを稼いでいたアウターチェーリングを峠越えで使用することは殆どないでしょう。
私に『脚力がない』というのもありますが、峠越えで斜度がある坂道になると、センターチェーリングでもペダリングできなくなり仕方なくインナーチェーンリング(一番小さいフロントギア)で登坂することもありました。

Toughroadは、もともと荷物を積載して長距離ツーリングするバイクです。貧脚の私としては、長旅道具を積載した[SLR 2]標準のギア比構成(※1)では、峠越えは厳しいかもしれません。(※1…前:22/32/44T、後:11-34T)
2017 Toughroad SLR 2 レビュー《2:実走》
私が[SLR 2]にキャリアを装備してパニアケース等に積載するばあい、フロントチェーンリングを〈22/30/40T〉の構成にしたクランクセットに変更すると思います。このあたりのパーツ換装は現在検討中です。こういった標準仕様に適合するしないは、その人の体力や使用環境によって差がありますので、かるく参考程度にどうぞ。

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操作性・フィーリング


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Toughroadの評価

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
『SLR 2』はラインナップのなかでは廉価クラス。ただしToughroad(タフロード)には高性能なフレームとフォークを与えてあるため、廉価モデルと言えども侮れないスペックを持つ。さらに販売価格は税抜き価格で〈¥95,000〉とかなり買い得だ。(2018年モデルは、為替の影響で税抜き〈¥110,000〉となった。)

さて、廉価版のToughroadの操作性やフィーリングはどうなるだろう。

操作性

ハンドリング

Toughroadは、自転車のジャンルでいえば『アドベンチャーバイク』で、舗装化されていないグラベル(砂利道)などを走行する前提で開発されています。日本の道路では舗装化が広範囲にすすめられているため、あまり馴染みがないジャンルです。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
アドベンチャーバイクは、長距離走行に必要な装備をバイクへ積載するため、安定志向のハンドリングに設計されるのが多い。それはモッサリとした挙動で、スポーツバイクとは縁遠いものでしょう。
しかし、Toughroadは29er(29インチホイール)バイクでありながらも軽快なハンドリングを提供してくれます。中・高速コーナーでは、バイクを自然に傾けるだけで安定した旋回をはじめます。ヘアピンのようなタイトなコーナーでは、バイクをリーンアウトで倒し込めば、ワイドタイヤを装着した29erにかかわらずToughroadは軽快に曲がります。

はじめて29erバイクに乗るユーザーでも、Toughroadなら気構える必要はありません。

ハンドル

バイク操作に重要なハンドルバーは、GIANT(ジャイアント)純正[CONNECT XC RISER 31.8 640mm]。バーの幅は〈640ミリ〉と扱いやすい幅になっている。クロスバイクより幅広いバー幅であるが、悪路での操作性を考慮している。
岩場を走破する29er MTBの多くのハンドルバー幅が〈740ミリ〉あたりを採用するが、Toughroadはフラットなシングルトラック(獣道)までを想定した設計だから中間をとっている。しかし、体格によってはバー幅の変更をしても問題はありません。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
私の体格(身長:約166センチ)は日本人らしく腕足ともに長くはありませんが、〈640ミリ〉幅のハンドルバーのフィッティングは良好。ハンドルグリップは良い感じの位置にあり、勾配のある坂道登坂でも軽く抑えがきいてハンドルは左右にブレにくい。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
また、少々ガレた下りセクションでは、ちょうど良い感じに腕が湾曲するため、衝撃吸収アクションやホールディングがしやすくコントロール性は高い。ちなみに、ハンドルグリップは2016年モデルと比べて感触は柔らかめ。私はダイレクトな操作感のある若干硬めが好み。

ハンドルバーの重量は〈約290 グラム〉と重め。そのかわり”たわみ“は少なく剛性はシッカリしている。軽量化と、路面からの衝撃・振動吸収のためにカーボン素材のハンドルに換装するのもアリでしょう。

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コーナーリング

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
コーナーの旋回は、ホイールを含めてバイクフレームの剛性が高く非常に安定している。このあたりはフレームジオメトリが違う2016年モデルとくらべて変化は感じられなかった。

ターマック(舗装路)のコーナーリングでは、バイクの倒し込みでもブレないフィーリング。連続するタイトコーナーでも切り返しが楽しいくらい剛性はカッチリしている。これが心の余裕を生み、自分が走りたい走行ラインを多く選ぶことができます。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
グラベル(砂利道)では、砂利が大きさにかかわらずバイクは安定指向。サイクリング的な速度域であれば余裕のライディングができる。
タイヤは、2017モデルから自社開発の[GIANT SYCAMORE S 700x50C]を採用。タイヤのノブ(ブロック)パターンは、MTBのXC(クロスカントリー)向けのようなトレッドを採用しており、ダートを含めたオフロード走行のコーナーリングもドライであれば安定している。

乗り心地(フレーム/フォーク)

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
新シリーズ発表から、たった1年でフレームジオメトリが変更されたToughroad。

設計変更の主な理由は、小柄なユーザーでも乗れることをメインにジオメトリが変更されているため、乗り心地に変化はないと予想していました。ところが、トップチューブを低く抑えるためシートチューブ長を短くしたことによって、シートポストの露出量が増えたため、2016年モデルよりシートポストが大きく撓る(しなる)ようになり乗り心地が良くなりました。

『SLR 2』のシートポストはアルミ製ですが、撓った感じは確認できます。上位モデルのカーボン製のばあいは、より明確に感じとれます。

このシートポスト周りの一点に関しては、2016年モデルとは大きな差が感じられますが、それ以外はフォークも含めて剛性は高くシッカリとしています。その剛性感は、キャリアとパニアケースを装着したときに一番分かりやすく、荷物を積載したままコーナー旋回中にギャップを越えても、不安を感じさせるヨレがなく安定しています。

また、ジオメトリ変更にはホイールベースの延長がふくまれており、ペダルの位置によってシューズとタイヤが接触することはなくなりました。

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ホイール・タイヤ

ホイール

2016年モデルと仕様変更がないホイールは、リムが自社製[GIANT SX-2 32H]。ハブが[FORMULA DISC 32H]。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
リム形状は低めのディープリムな設計。スポークは前後とも32本で組上げてありますが、リム剛性が非常に高く、縦方向・横方向ともヨレないガッチリ感。振動吸収より強度を選び、重い荷物の積載にも負けない強靭なホイールです。
おかげで少々荒れたグラベル(砂利道)でも直進安定性は良好。ただし、障害物からのキックバックはそれなりに大きいです。

また、質量のあるリムの特性としてホイールの回転を持続しようとする特徴があります。これによって一度バイクが走り始めれば、あとは少ないペダリングトルクで走り続けることができます。この効果は意外と上り坂でも発揮されます。

タイヤ

近年オリジナルのバイクパーツを多く開発しているGIANT。その技術はToughroad 2017年モデルからタイヤ[GIANT SYCAMORE S 700x50C]として採用されました。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
タイヤ表面のトレッドパターンは低いノブが集合したパターンで、見た目より走行抵抗は少ないためペダリングは軽い。またノブ(ブロック)とタイヤ表面の柔らかさによって振動吸収性は高く、非常に乗り心地が良い。グリップも良好でオンロード走行はもちろんのこと、オフロード走行でも安定した走行をさせてくれる。

タイヤの重量は少々重く〈約730グラム〉。スチールビードであるため軽量ではありませんが、優れた振動吸収性と軽めの走行感でポイントが高い。あと、チューブの重量は〈約190グラム〉。このあたりを交換するだけで、かなりの軽量化ができます。

タイヤの推奨空気圧は〈2.1〜4.2 ber〉。このタイヤは衝撃吸収性に優れているため、私は〈約1.9 ber〉のエア圧で使用しています。キャリアを装着して重めの荷物を積載するなら〈1.9 ber〉以上のの設定になります。

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コンポーネント

バイクのコンポは、ドライブ系とブレーキ系のすべてのパーツがSHIMANO(シマノ)製です。廉価なパーツ構成でありながら安定した性能を発揮しています。

シフター

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
ドライブコンポーネントは、廉価グレードのMTBに多く採用される[SHIMANO ACERA]をメインに組上げられている。

変速を操作するシフターは、2本のレバーを押して変速する『ラピッドファイアー・プラス』を採用。レバーの入力操作では、小さいギア(歯車)への操作は、レバーを引いた瞬時に素早く変速ができ、大きいギア(歯車)への変速はレバー操作は大振りであるがスムーズな変速が可能。

廉価なシフターでありながらも操作は軽くスムーズ。幅広い年齢層に対応できる変速システムです。

ドライブトレイン

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
前後変速の歯数は、前が3段〈44 × 32 × 22T〉、後が9段〈11-34T〉とワイドレンジな設定。

MTB系タイヤを装着した29インチホイールのバイクとしては、アウターチェーリングは〈44T〉と結構大きいため、少しの勾配でもミドルチェーリング〈32T〉を使用することは少なくありません。なので、勾配10%の坂になるとインナーチェーリング〈22T〉を使うことも珍しくありません。

このフロントチェーンリングの大きさは、平地を多く走行するユーザーは気にすることはありませんが、坂が多いルートを走行するユーザーは頻繁な変速操作が必要になるでしょう。

大きいホイールサイズと大きいフロントチェーンリングのおかげで、平地での巡行速度は高く、最高速度は脚力しだいで〈40 km/h〉以上は可能です。

ブレーキ

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
SHIMANOのブレーキセットは油圧ディスクブレーキシステムで、ブレーキレバー、ブレーキキャリパーのすべてが[SHIMANO M315]で統一。ブレーキ制動時のレバー入力はかるく、ブレーキの効きは指の引きたいしてリニアに調整できる点は素晴らしい。また、指一本でタッチからタイヤロックまで制動コントロールが可能。

制動能力は高く余裕がある。峠道からの連続するワイディングロードを下る途中、制動時間を増やしても効きの低下はなかった。いつか、キャリアに荷物を積載した状態のブレーキ制動能力も確認してみたい。
2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
2016年モデルの[SHIMANO M355]からパーツ変更されていますが性能に大きな差はありません。ただし〈160 mm〉径のディスクローターのスリットデザインが変更されており、ブレーキの効き始めが少し甘めだが、わずかな違いでしかなく全く問題はない。

また、指の長さに適合させるためのリーチアジャスターも搭載される。幅広いユーザーの指の長さやレバータッチ感を調整し最適化することができます。

軽量化へむけて

2017年モデルは販売価格が安く、かなりお買い得になりましたが、パーツ構成においては無理にアンダーグレードに換えられることもなく安定のクオリティです。

ほかには、2016年モデルと比べるとフレームジオメトリが大きく変更されましたが、スポーティな運動性能は受け継がれ、29er MTBのような軽快なハンドリングが楽しめます。

それにロングツアラーの耐久性と走破性を加えることで、ターマック(舗装路)からグラベル(砂利道)までスムーズな巡航性能を備えた、新世代のグラベルバイクと言えるでしょう。

Toughroad SLR 2のパーツ換装

2017 Toughroad SLR2 レビュー《3:操作性・フィーリング》
年度モデルに関係ないことなのですが、管理人のように山岳ルートや高低差のある麓を走行するユーザーにとって、[SLR 2]のドライブ系のフロントチェーンリング〈アウター:44T〉は大きく、重量のあるタイヤとホイールの相乗効果もあって、峠へと続く登坂ではインナーチェーリング〈22T〉を使うことも多いです。
このあたりを私の脚力と使用状況に合わせて改善するために、パーツ交換を検討しています。

軽量化・パーツ交換


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Toughroad SLR 2 について

[2017 Toughroad SLR 2 軽量化]
2017年に購入した Toughroad(タフロード)シリーズの廉価版モデルでもある Toughroad SLR 2 。

フレーム素材には GIANT(ジャイアント)アルミフレーム最上級の『ALUXX SLR』を採用。完成車の販売価格で10万円を切るスポーツバイクに、通常では考えられないグレードのフレームを与えている。さらに、フロントフォークも軽量カーボンである。GIANT 恐るべし…

価格を抑えているスポーツバイクに高品質フレームをおごったバイクだから、構成パーツのグレードが気になるところなのですが、十分な性能と質感の部品構成でまとめています。
ちなみに 2018 Toughroad SLR 2 はフォークとホイールの仕様を変更していますが、他の部分は 2017 モデルと同じになります。

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軽量化の要点

今回の Toughroad SLR 2 についての部品交換では、ホイールセット、チューブ、タイヤ、ドライブトレインといった、スポーツバイクにとって重要なパーツとなる駆動系を主に換装します。

とくに Toughroad の標準ホイールは重量が重いため、交換後のパフォーマンス向上が期待されます。

ホイール交換

Toughroad SLR 2 を軽量化するばあい、一番効果的なのがホイールのグレードアップです。2017年モデル SLR 2 のホイールは、キャリア&パニアケースを搭載して荷物を積載しても大丈夫な、高い剛性をもったホイールで重量もあります。なので、長距離ツーリングなどで重い荷物を運搬しないのであれば、軽量ホイールに交換するのがバイク車重の軽量化はもちろん走行パフォーマンスも大きく向上します。

また、ホイールに装着するタイヤは、スピードと衝撃吸収性のバランスがとれた〈40 C〉にするため MTB 用ホイールではなく、グラベルロード向けのオールロード用ホイールから選ぶことにしました。

Toughroad SLR 2 のアップグレードは、変速系もふくめてリーズナブルに仕上げたかったので、高級パーツ群ははじめからスルー。
GIANT 純正のホイールも検討しましたが、前後セットで十数万円を超えるので一番始めに選択から外しました。また、シマノについては、グラベルバイク向けのホイールがリリースされていないので外しました。MAVIC(マビック)のオールロード系は10万越えなので手頃ではありません。
FULCRUM DB ホイール[2017 Toughroad SLR 2 軽量化]
ところが FULCRUM(フルクラム)から 2018 モデルの新商品に[Racing 7 DB 2WAY-R]税抜価格〈¥33,000〉のグラベルやアドベンチャーライドにも対応する C19 ワイドリム採用のディスクブレーキ・ホイールが発売されていました。ブレーキ規格もセンターロック対応であるため、センターロックのファンユーザーとしては非常に嬉しい。

ということで、ホイールは FULCRUM に決定。ちなみに購入するホイールのスペックは以下のとおり。

Racing 7 DB 2WAY-R

リム:アルミ製、ハイト26mm、内幅C19
適合タイヤ幅:28~62mm
ブレーキ規格:AFS(センターロック)
フロントアクスル:QR/HH15-100、HH12-100
リアアクスル:QR/HH12-142
スポーク:ステンレス F/24 R/24
ハブ:アルミモノブロック・プラズマFW
重量:1,740g
税抜価格:¥33,000

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タイヤ・チューブ交換

また、ホイールの軽量化にあわせてタイヤとチューブも変更して軽量化します。この軽量化とタイヤ幅の縮小は、ドライブ系と密接に関係するための対策でもあります。
Panaracer Gravel King[2017 Toughroad SLR 2 軽量化]
タイヤは Panaracer(パナレーサー)の Gravel King SK(グラベルキング・エスケー) というグラベルロード用に開発されたロードタイヤです。SK(Semi knob)はセミノブの意味で、正方形の低いノブがマス目状にならんでおり走行抵抗は低く乗り心地も良好。タイヤ幅ラインナップは〈26 〜 43 C〉。
フルクラムのホイールに装着するタイヤ幅は〈35 C〉〈38 C〉〈43 C〉の3種類を選択。走行するコースコンディションやスピード、必要な衝撃吸収性を考えてタイヤを入れ替える予定。

チューブはすべて[MAXXIS ウルトラライトチューブ 700X35/43C 仏48mm]を使用。参考重量はチューブ一本〈100 g〉。

装着する Gravel King

700×35C
400 g・200-500 (kPa)・¥ 5,191(税抜)
700×38C
440 g・MAX 400 (kPa)・¥ 5,191(税抜)
700×43C
490 g・MAX 400 (kPa)・¥ 5,191(税抜)

《備考:700×38C、700×43C はチューブレスコンバーチブル仕様》

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ドライブトレイン交換

Toughroad SLR 2 の変速は、前3枚(44-32-22t)、後9枚ギア(11-34t)の27段変速。26インチホイール MTB が多く採用していた段数とギア比です。そのため、完成車の重くて大きいホイールだと、高い勾配の悪路ではペダリングを頑張る必要があります。
ドライブ系部品の交換[2017 Toughroad SLR 2 軽量化]
SLR 2 変速系の構成パーツは、前後ディレーラーとシフターが[SHIMANO ACERA]という[DEORE]グレードの一つ下のシリーズ。作動感と耐久性は十分素晴らしい。ただし、重量的には厳しいが販売価格を考えると、やっぱりシマノは凄い。

ということで、作動に関しては問題ないのですが、軽量化のためにパーツ変更します。ちなみに変速用のシフターはそのまま ACERA を使います。なぜならば、現在に至っては 3 × 9速用パーツはラインナップ縮小か廃止の現状なので、ACERA 9S も現在では貴重な部品です。ある程度まで使い倒そうと思います。

ドライブ系で交換・アップデートする部品は

シフター
Shimano ACERA(流用)
FD
Shimano ACERA(流用)
RD
Shimano DEORE 9S RD-M592-SGS
クランク
Shimano DEORE FC-M590 (44-32-22 T)
BB
Shimano DEORE SM-BB52
リアコグ
CS-HG400 9S (12-36T)
チェーン
Shimano HG93 9S

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ドライブ系の重量は、BBとクランクが占める割合がけっこう大きいため、このパーツ交換でどのくらい軽量化できるのか期待。

このパーツ群で個人的に注目したのが、リアカセットのギア(コグ)です。9速用なのですがローギアが〈34 T〉ではなく、よりロー側に軽くなる〈36 T〉なのです。このロー〈36 T〉の CS-HG400 は[ALIVIO]クラスですが、これ以上のグレードにローギアが大きいリアカセットは製造されていません。
また、ロー〈36 T〉に対応するディレーラーとして[DEORE 9S RD-M592-SGS]を採用。とりあえず、9速で使える〈36 T〉の登坂能力に期待。